雑な提案
SCフィニッシュは、SCはピットに向かう
セーフティカー運用手順は、「国際モータスポーツ競技規則 付則H項」に定められる。JAFが日本語版を仮訳で公開しているが、正本はフランス語版に基づく。といっても、私にはフランス語は分からないので、FIAが公開している規則に併記されている英語版を見ることにする。
2.10.17 If the safety car is still deployed at the beginning of the last lap, or is deployed during the last lap, it will enter the pit lane at the end of the lap and the cars will take the chequered flag as normal without overtaking.
と日本語版と同じく、最終周に出動中/出動した場合、セーフティカーはピットレーンに入り、競技車両はメインストレートに向かいチェッカーフラッグを受ける。
ただし、2.10.15で規定される、SC終了時の手順とは異なり、セーフティカーがオレンジライトを消灯する、先頭車両がペースを決定するということは明記されていないし、セーフティカーがピット入口に進入しても、黄旗とSCボードが撤去されることも明記されていない。
各公式サイトを見ても、SCチェッカーの時はSC導入時刻が終了していない(参考1、参考2)のであって、SCが先導しない状況下でありながらもSCは適用され続けていると理解すればいいだろう。
明らかに問題があれば追い越しができる
セーフティカーは原則として追い越しはできないが、明らかに問題を抱えてスローダウンをしている場合は追い越しが可能である。
2.10.10 All the competing cars must then form up in line behind the saf ety car no more than five car lengths apart, and overtaking, with the following exceptions, is forbidden until the ars reach the Line (or the next race neutralisation end point) after the safety car has returned to the pit lane.Overtaking will be permitted under the following circumstances:
– if any car slows with an obvious problem.
つまり、最終周であってもSC中に追い越しが可能である可能性は否定できない。
競技会における罰則
数年前であれば、ドライブスルー以上のペナルティしかなかったが、現在においてはタイムペナルティが課せられる競技会も増えてきた。
全日本スーパーフォーミュラ選手権は以下のように罰則がある。
①5秒間のタイムペナルティ:
https://motorsports.jaf.or.jp/-/media/1/3375/3379/3400/3462/3466/3492/2025_touitsu_kisoku_superformula_20250101.pdf
競技結果に対して5秒を加算する。
②10秒間のタイムペナルティ:
競技結果に対して10秒を加算する。
③ドライブスルーペナルティ:
ドライバーは下記2)のボード提示後、ピットレーンに進入し、ピットに停止せずにピットレーン出口からレースに復帰しなければならない。
④ペナルティストップ:
ドライバーは下記2)のボード提示後、ピットレーンに進入し、ペナルティストップエリアに少なくともタイムペナルティとして課せられた時間の間、停止した後、ピットレーン出口からレースに復帰しなければならない。また、自チームのピットに停止することは許されない。ペナルティストップエリアでは、車両はエンジンを停止する必要はない。エンジンが停止した場合は、ペナルティの時間が経過した後に、エンジン始動用外部エネルギー源あるいは補助的装置によって再始動することができる。
SUPER GTは、2025年のレギュレーションは、タイムペナルティ、ドライブスルーペナルティ、ペナルティストップの3種類が定義されている。
レースは非競技化されている
そもそもSCが適用されている状況下において、レースは非競技化されている。そう、非競技化されているのだ。
SC適用中のフィニッシュは、SCが終了するのではなく競技規則の手順上、SCが先導しない状況に過ぎないのであって、非競技化は継続していると解するべきではないだろうか。
ただし、現状の規則においては、SCがピット入口に向かい第1SCラインを超えた以降、SC中であっても制限速度は設定されておらず、アクセルを全開にしたところで何ら規則に反しているわけではない。
つまり、SC先導が終わってから、コントロールラインまでのわずかな距離において、競技化してしまっている可能性が否定できない。たとえストレートエンドに事故車両が止まっていようとも、競技規則上コントロールできていないように読めてしまうのだ。
危険な可能性も否定できないし、非競技化である前提も失われている。
タイムペナルティとSC終了
近年導入されたタイムペナルティについて考えてみよう。2014年にF1で導入され、2021年にはスーパーフォーミュラ、そして2025年にはSUPER GTにおいても導入される。
F1のタイムペナルティは、ピット作業時に消化できるのに対し、日本の競技においては適用できない。これはより高精度な監視システム構築が必要であるからと考えるべきで致し方ない面があるが、ここで一つの懸念が生じる。
もちろんペナルティであるから罰則を受けるべきなのは当然のことだ。しかしSC終了した場合、SCというタイム差がごくわずかな状況を意図的に作り上げたうえで、5秒ないし10秒を課すことは過度な罰則になっている可能性がある。
通常のレーススピードで終わっていれば2~3個順位を落とすだけのペナルティが、10個以上順位を落とすことになるわけである。
また、仮にトップの車両がタイムペナルティを受けていて、後続にチームメイトがいた場合、後続のチームメイトが加速を鈍らせることで順位の変動が生まれかねないのだ。
これは果たして正しい競技のあり方なのだろうか?
SCは競技を非競技化すると同時に破壊している
当然、破壊をしているのは言うまでもない。そこまでに作り上げていた差をごくわずかなものしているのだ。赤旗による中断と同様に、ギャップを0に近づけるのものである。
そもそもSCはエンタメ、興行的な側面が強いものだ。赤旗中断によらずに車を走らせる唯一の選択肢だった時代があることは事実であろう。
ただし、現代においてはF1で2015年にVSCが導入されたのをはじめとして、各レースでVSC、FCYの実施がされている。
ただし現在においては各車両の間隔を保った状態でコントロールできる制度は、もう生まれているのだ。
(明らかに危険な状況下においては、赤旗中断という選択肢があるのだからSCがなくても特段問題がなさそう。SCスタートのようなものはありだろうけど、FCYで済むならそれでよいのでは?と思わなくもない)
SCフィニッシュにおける、タイム差はSC前に完了した周の差を使う選択肢
タイムペナルティがある以上、それまでに作り上げたタイム差は尊重するべきではないだろうか。
FCYという手段があるのにもかかわらず、SCを入れタイムペナルティを課すことは、競技長の裁量によって順位がコントロールできてしまうことが否定できない。
つまりもはやこれは競技ではない。
SCは興行的要素(赤旗中断&タイム合算からの脱却)として導入されたシステムであるが、5秒や10秒というごく短い罰則を課すのであれば、そこまでのレースそのものを否定するSCは廃止、縮小方向にもっていくべきなのだろう。
少なくとも、現時点のルールにおいてSCフィニッシュをするならば、各車両のタイム差は、SCを適用する前の周のタイム差に対してペナルティを課すべきだろう。赤旗終了時は赤旗の1周前が最終結果になるのだ。SC終了もそれと同様でなぜいけないのだろうか。
まとめると
- 現在において、競技であることを売りにするならばSCは必要がない
- タイムペナルティを課すのであれば、SC導入のまま終了した場合に各車のタイムをそのまま使うのは不公平である
- 赤旗終了時は、1周前の計測を用いるのだから、SCフィニッシュの場合も、SC導入前のタイム差を用いる選択肢はありそう。
- 危険回避のためにも、SCフィニッシュにおける速度制限は設けてもよいのではないか

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