昨日の記事の続き?案外チームもドライバーも把握していなかったのは面白いところだ。
チームもドライバーも把握していなかったのは面白い
そう。今回の事象で面白かったのは、多くのチームもドライバーもフルポイントが付与されると考えていなかった点だろう。
レースが予定の距離を走破すれば、フェルスタッペンが優勝、ルクレールが3位になったことで、今回のレースでフェルスタッペンのチャンピオンが決まるはずだった。しかし昨年のベルギーGPがセーフティカー先導の2周のみで終わった件を受けて改訂されたレギュレーションでは、レースの75%未満しか走行できなかった場合には勝者に19ポイント、3位に12ポイント与えられると記載されていたため、フェルスタッペンのチャンピオンは決まらなかったと多くの人が考えた。多くのチームやドライバーたちも、そう考えていたという。
しかしレギュレーションには、「中断され、再スタートができなかった場合」のみ、フルポイントから減算されたポイントが付与されると記載されており、今回のケースには当てはまらず。それ以外の条件についてはレギュレーションに記載がないため、全ドライバーにフルポイントが与えられることになった。
レッドブルのマックス・フェルスタッペン、F1日本GPで勝利し今季のタイトル獲得を決めるも、ポイント制度にまつわる混乱は「かなり面白かった」、motorsports.com 2022/10/10 9:14,https://jp.motorsport.com/f1/news/verstappen-points-confusion-over-f1-world-title-win-was-quite-funny/10382305/
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、F1日本GPで優勝したマックス・フェルスタッペンがチャンピオン獲得を決めると思っておらず、ポイントシステムに関するルール改訂においてF1が間違いを犯したと考えているようだ。
なんでこうなった? 日本GPのレース後にF1チーム代表も大混乱。レッドブル代表「1ポイント足りないと思っていたんだけど……」、motorsports.com,2022/10/9 22:00,https://jp.motorsport.com/f1/news/f1-made-mistake-with-revised-points-rules-admits-horner/10382293/?nrt=54
(省略)
レース直後は、フェルスタッペン本人もチャンピオン獲得に驚いていたが、レギュレーションをめぐる混乱について、ホーナーは次のように語っている。
(省略)
「レギュレーションを見直す必要がある。我々は75%でフルポイントが与えられるという印象が強く持っていた。だから、1ポイント足りないんじゃないかと思ったんだ」
(省略)
フェラーリのチーム代表であるマッティア・ビノットは、ポイントシステムの解釈によってルクレールの逆転タイトル獲得の最後のチャンスが消滅したのを見て、フェラーリもどのように処理されるか知らなかったと認めた。
「我々は混乱したし、フルポイントは与えられないだろうと思っていた」と彼は話した。
「だから、当初は彼(フェルスタッペン)が世界チャンピオンではないという計算だったんだ」
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マクラーレンのアンドレアス・ザイドル代表も、昨年の冬に行なわれたルール改正は、レース距離が75%に満たないケースでフルポイントを与えることを意図したものではないという見解を示している。
「最終的に、今日のポイントシステムは我々が考えていたものとは違っていた」と彼は述べた。
「FIAやチーム側からはそういう意図はなかった」
「でも結局のところ、この抜け道は我々全員が見落としていたようだ。だからその責任は我々全員にあるんだ。次はもっといい仕事ができるように、みんなで努力しなければならないということだ」
ドライバータイトルがかかっている本人や、まだ可能性を残しているドライバーがいるチームも把握できていなかったのだ。みんな75%未満で減算されたポイントになると思っていたのだ。重箱の隅をつつくようにレギュレーションの穴を探して戦っているあのF1で起きたのだから面白い。
昨日の投稿でもふれたが規則は、「If a race is suspended, and cannot be resumed」だ。どのメディアでも触れられているし、公開されている規則にそう書いてあるのだから仕方がない。規則に書かれているものをそのまま適用しない方が問題だ。
現実に、鈴鹿では赤旗中断されたもののレースは再開され、規定時間で終了となったのだ。レースは再開されたのだ。
今回のルール改正で起こったわけではない。
マクラーレンのアンドレアス・ザイドル代表が「今日のポイントシステムは我々が考えていたものとは違っていた」といい、マクラーレンのホーナー代表は「昨年のスパでの問題の後、レギュレーションが明らかに完成していないのはミスだと思う」とある。
フェラーリのシャルル・ルクレールが3位となり、フェルスタッペンのチャンピオン連覇の条件を満たしたものの、レース距離の75%を消化できずにレースが終わったため、レッドブルを含む多くのチームがフルポイントが付与されるとは考えていなかった。
しかし競技規則が厳格に解釈され、ルール改訂によって赤旗終了ではない場合のポイント規定が削除されたことから各ドライバーにフルポイントが与えられ、フェルスタッペンの連覇が決まった。
なんでこうなった? 日本GPのレース後にF1チーム代表も大混乱。レッドブル代表「1ポイント足りないと思っていたんだけど……」、motorsports.com,2022/10/9 22:00,https://jp.motorsport.com/f1/news/f1-made-mistake-with-revised-points-rules-admits-horner/10382293/?nrt=54
これは果たして本当なのだろうか。
2021年7月12日のSporting Regurations(2021 issue11)の時点では、もうすでに「cannnot be resumed」は記述されている。
FIAのページで見れる一番古いレギュレーション、2018年のSporting Regulationsの記述はこうだ。
6.5 If a race is suspended under Article 41, and cannot be resumed, no points will be awarded if the leader has completed two laps or less, half points will be awarded if the leader has completed more than two laps but less than 75% of the original race distance and full points will be awarded if the leader has completed 75% or more of the original race distance.
2018 F1 Sporting Regurations, FIA, 2017/4/30
If the formation lap is started behind the safety car (see Article 39.16), the original race
distance will be deemed to be the distance calculated in accordance with Article 5.3(c).
そう。この時点で「suspended, and cannnot be resumed」である。
6.5条の条文の書き出しは「If a race is suspended under Article ○○, and cannot be resumed」だったものが、スプリント予選が始まった2021年のissue11(2021/7/12)に「If a sprint qualifying session or race is suspended under Article ○○, and cannot be resumed」に変更される。
そして、昨年のベルギーGPを受けてのルール改正は、2022年のissue4(2022/2/18)だ。減算ポイントのテーブルが挿入されたために「If a race is suspended in accordance with Article 57,and cannot be resumed, points for each title will be awarded in accordance with the following criteria:」へと変わる。

ピンクが追加、取り消し線が削除された箇所を示している
そう。私がRegulationsを見た限りでは、一貫してルールでは「suspended, and cannot be resumed」であるのだ。記事に「赤旗終了ではない場合のポイント規定が削除」とあったがその箇所は残念ながら見つけられていない。
FIAのほかのレース規定を見てみる
昨日の記事では、日本のレースに触れたが今回はFIAのレース規定を見てみよう。
(SUPER GTは、厳密にルールが適用していない可能性に触れたが、あれはレギュレーションが一般に広く公開されているわけでもないので、何とでもできる説はある)
WEC(FIA World Endurance Championship)
15.3.4 If the race is suspended and cannot resume
2022 WEC Sporting Regurations – Version approved by the WMSC of 15.12.21, FIA,https://www.fia.com/sites/default/files/2022_fia_wec_sporting_regulations_-wmsc_151221-_clean.pdf
o race is suspended by the Race Director and cannot be resumed, no points will be awarded to the crews if the leader has completed less than two laps without being under a Full Course Yellow (Article 14.5) or Safety Car (Article 14.6) procedure.
o Half points will be awarded to the crews if the leader has completed more than two laps (without being under a Full Course Yellow (Article 14.5) or Safety Car (Article 14.6) procedure) but less than 75% of the original race time. A minimum of two laps must have been completed by the leader outside of a Safety Car procedure.
o Full points will be awarded if the leader has completed more than 75% of the original race time
WECの規則の正本はフランス語側であるが、さすがにフランス語はわからないので英語版を掲載する。
WECも、条文のタイトルにあるように「中断され、再開されないとき」の規定であろう。
もちろんタイムレースである耐久レースなので周回数が決まっているわけではないが、
- FCY、SC以外で2周未満しか走行していない→ノーポイント
- FCY、SC以外で2周以上走行したが、レース時間の75%未満しか走っていない→ハーフポイント
- 75%以上→フルポイント
で、FIAはパレードラップを認めないという点はF1と同じである。WECは過去ドキュメントが置いていないのでわからないところだが、2014年からパレードラップのみではポイントを認めていなさそうだ。(参考)
現行規定とはかなり違うだろうが、2013年第6戦富士は、16周のSC走行でハーフポイント(現行規定ならノーポイント)、2022年第1戦セブリングは、268周または8時間で行われ194周(7時間15分)で終わり、フルポイントが付与されている。トータルでは50分以上は赤旗でセッションは止まっていたものの走行時間的にはギリギリ足りていたのだろうか。
Formula E(FIA FORMULA E WORLD CHAMPIONSHIP)
6.4 If a race is suspended under Article 40 and cannot be resumed, no points will be awarded
2021-2022 Sporting Regulations- FIA Formula E World Champoonship Version validated by WMSC of 19.03.2022, FIA, 2022/3/21,https://www.fia.com/sites/default/files/2021-2022_fia_fe_sporting_regulations_s8_clean_19032022_v1.pdf
if the leader has completed less than 2 laps, half points will be awarded if the leader has
completed more than 2 laps but less than 75% of the original race distance (34 minutes), and
full points will be awarded if the leader has completed 75% (34 minutes) or more of the original race distance.
フォーミュラEも「race is suspended under Article 40 and cannot be resumed」である。やはり、中断しそのまま中止の規定である場合が多いようだ。
これを機にルールは変わるのか
F1は、反応を見る限り変わる可能性はあるだろう。そして、そのほかのレースにも波及していくのだろうか。
既定の距離で行われたレースと、短縮されたレースの価値の決め方は不可抗力がかかわる以上難しいものであり、簡単なものではないだろう。これからもこうやってルールは変わって行き続けるのだろう。


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