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SUPERGTのドライビング・モラルハザード防止制度が分かりにくい件

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何が分かりにくいのか

近年は、ペナルティ基準に達したときに公式HPで知らされる。

これは、グリッド降格や、公式練習参加禁止などがあることから、見ている人への配慮という面はあるだろう。グリッド降格を突然されたところで、一般客からしたら理解できないのだから仕方がない。

これで「公表」しているじゃないか、というわけではないのだ。

今回のリリースを見てみよう。

ジュリアーノ・アレジ(No.36 au TOM’S GR Supra)
内 容:第6戦においてペナルティポイント6点が課せられ、累計ポイントが合計で6点以上となったため、次回出場大会の公式練習への後半1時間の参加禁止、且つ決勝レースのスターティンググリッドで4グリッド降格となりました。

木村 偉織(No.55 ARTA NSX GT3)
内 容:第6戦においてペナルティポイント2点が課せられ、累計ポイントが合計で4点以上となったため、次回出場大会の公式練習(後半の1時間)が参加禁止となりました。

加藤 寛規(No.2 muta Racing GR86 GT)
内 容:第6戦においてペナルティポイント1点が課せられ、累計ポイントが合計で4点以上となったため、次回出場大会の公式練習(後半の1時間)が参加禁止となりました。

2022.09.26
第7戦オートポリスにおけるモラルハザード適用ドライバーについて(https://supergt.net/news/single/22110)

そう。ジュリアーノ・アレジ選手に関しては、前戦で生じたペナルティポイント6によるものでこの文章を読めばまだ一定の理解はできるであろう。

しかし、木村選手、加藤選手は前戦のポイントはわかるものの、他の点数はいつ課されたものなのかわからないのだ。

そして、そもそも前戦のものであっても、この発表を見るだけでは結局何があって、何点課されたかなどわからないのだ。

レギュレーションのおさらい

「2022 SUPER GT Sporting Regulation」 の付則-7に「GTAドライビング・モラルハザード防止制度」の定義づけがある。

罰則は、

4.罰則規定
4.1 ポイントと対象車両

本罰則ポイントは当該行為を行ったドライバーに対し競技会期間中のペナルティまたは黒白旗の定時に加えて課されるものであり、その場合は4.3の反則金は課されずにポイント加算のみが行われる。加点された結果次第では次の競技会で下記4.2の罰則が課される。

2022 SUPER GT Sporting Regulation

つまり、ペナルティと黒白旗によって課されるものだ。なおルール上は下記のポイントが定義されている。

ポイント事例項目
1「黒白旗」の提示を受けた危険なドライブ行為一般原則・危険なドライブ
2同クラス同士の接触で相手をスピンアウトさせる行為一般原則
3他クラス車、同クラス異周回車をスピンアウトさせる行為一般原則
3黄旗中のスピン危険なドライブ
3~赤旗中のスピン危険なドライブ
1~3安全確認義務違反一般原則・危険なドライブ
3~5安全確認義務違反で他の車両をコースアウトやクラッシュさせる行為危険なドライブ
4~10報復行為、上記事例で悪質と判断される行為や暴力行為危険なドライブ
2~5青旗無視一般原則・危険なドライブ
2022 SUPER GT Sporting Regulation

なお注釈として

  • ポイントは年度をまたぐ。(2シーズン参加がなければ0にする)
  • 2レースで新規ペナルティ0の時は、2減算する。(0以下にはならない)
  • 「次競技会のレース参加拒否」の罰則を履行したときは、5ポイント減算。
  • 事例が重複するケースは、ポイント合算もあり。

とされる。0以下にならないとあるので、1ポイントでも課されたらずっと1なのかは疑問なところではあるが、0を下回らないの誤記なようにも思える。

ここで、2022年の第6戦のペナルティを振り返ってみよう。

公式練習

No.37 宮田 莉朋 罰金3万円(L項4.5.c「ホワイトラインカット(ピット出口)」)

予選

No.64 伊沢 拓也 訓戒(SpR.13-1.a. 付則7 3.4 3)「走行マナー違反」)
No.5 予選タイム削除(2022GTAブルテンNo.48-T「燃料搭載量違反」)
No.96 予選タイム削除(SpR.23-3)「サクセスウェイト重量違反」)

決勝

黒白旗提示: No.12 平峰一貴
No.36 G.アレジ 競技結果に対して40秒加算(H項 2.5.5 b「黄旗区間の追越し」)(16:14)
No.36 G.アレジ 競技結果に対して40秒加算(H項 2.5.5 b「黄旗区間の追越し」)(16:15)

黒白旗提示: No.2 加藤寛規
No.18 罰金30,000円(SpR.27-3「エンジン停止せずジャッキアップ (ウォームアップ走行時)」)
No.55 ドライブスルー(SpR.13-1.a 付則7 3.4 1「危険なドライブ行為」)
No.50 ドライブスルー(SpR.13-1.a 付則7 3.4 1「危険なドライブ行為」)

そう。ここで、また名前が出てこなくなるのだ。黒白旗は誰に対して出したか書かれているのにだ。

アレジ選手は6点課されているから、「安全確認義務違反」で3点×2
黒白旗の加藤選手、平峰選手は1点
No55の危険なドライブ行為は、木村選手の「同クラス同士の接触で相手をスピンアウトさせる行為」で2点
50号車の接触はなんだ?

こうなるありさまだ。

調べるとわかるときもある。メディア向けには情報は出てる?

第6戦前の記事にこんなものがある。autosports webの「GTA、第5戦鈴鹿でのドライビングモラルハザード制度の通達一覧を発表。2台が第6戦で4グリッド降格」という記事だ。

https://www.as-web.jp/supergt/856792?all

そう。何があったか書かれているのだ。しかし、9/6のGTAのHP上のアナウンスはこれだ。

https://supergt.net/news/single/22012

結局、メディアが出してくれないとわからなさそう。これが現実だ。

F1の公開しているところを見習ってもよいのでは?

ペナルティポイントを課して、より安全に、よりクリーンにレースを行うことが意図であるはずだ。
そして、それを運用して実際に「ペナルティ」があり、グリッド降格や参加禁止が行われるのだ。
(10点以上に達して次回参加禁止になったのは、2017年第2戦の和田選手だけ?)

もちろん「競技会」である以上、選手やチームが理解していればよいという側面はあるだろう。

しかし、SUPER GTの規模は、興行である面は強くそういった側面を持つ以上、視聴者・ファンにわかりやすいものであるべきはずだ。

モラルハザードの判定は「GTAが選任したSUPER GT Driving Standard Observerが行うことになっています。」となっている。
別にこの判定結果を公開することで、誰も不利益を被ることはないし、一貫した、正々堂々とした戦いであるのであれば、共有してもよいのではないだろうか。

こういったことろがあいまいで、余地があると、本当にクリーンなレースなのか疑いたくなってしまうのだ。

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